夏前にライフオーガナイザー®の資格を取ったものの、
今後どんな活動をしていくか、考え中です。
私は産後、育児や職場復帰などを経て、大きな心境変化がありました。
そのときに出会ったのが「ライフオーガナイズ」でした。
なので、産後の女性をサポートできるようなオーガナイズに関心があります。
- 産後最初の悩み「母乳」 について
- 混合栄養の推移
- 3か月後の完母率が増えている!
- この10年でなにが変わったのか
- 産後の混乱期
- 親世代との隔絶
- 母乳育児推進のホントのところ?
- 母乳育児≠完全母乳育児
- 出産前にもっと準備をしよう
- さいごに
産後最初の悩み「母乳」 について
6月、娘に断乳してもらい、私の授乳ライフは終わりました。
その後トラブルもなく順調に終わりましたが、私の授乳ライフはなかなか大変でした。
授乳に関する悩みって、産後間もない時期はとくに、ツライものがあります。
「母乳?」と気軽に聞いてくる周囲に腹が立ったり、
お母さん同士でも母乳派がミルク派をディスったり、またその反対も見かけます。
もう少し楽に授乳ライフを送ることができないのか?
母乳育児というものをどう捉えたらいいのだろう? と思っていました。
結構前になりますが、ツイッターのフォロワーさんから興味深い調査結果を教えてもらったので、少し考えてみました。
厚生労働省が10年に1回行っている「乳幼児栄養調査」です。
以下長文ですのでご興味のある方はどうぞ。
混合栄養の推移
これは、生後1か月と3か月の時点で、栄養方法がどのように推移したかを示す表です。
見やすくするため、言葉を置き換えますね。
- 母乳栄養 →完母 (母乳のみ)
- 混合栄養 →混合 (母乳とミルク)
- 人工栄養 →完ミ (ミルクのみ)
それから、最初にお断りしておきますが、
私が「母乳育児」と書くときは、完母だけでなく混合も指します。
3か月後の完母率が増えている!
さて、平成27年度調査で特徴的なのは、3か月後の完母率が増えている点です。
それ以前は、完母と混合はともに減少し、完ミが増えています。
10年前までは、母乳の出が良くなければ3か月の間にミルクに移行する人が多かった。
全体の20~15%のお母さんが、完ミに移行しています。
ところが、平成27年の時点では、混合が減り、完母が増えています。
さらに、完ミへ移行した人は全体の6.6%に下がっています。
混合だった人のみが完母か完ミに移行したと想定すると、
単純計算で、混合だった人のうち7.5%が完母になり、14.6%の人が完ミになった、ということになります。
同じように考えると、10年前までは混合だった人の30%が完ミに移行していた、と取れます。
産後も職場復帰する女性が増えたのに、ミルクへの移行は減っている。
不思議です。
この10年でなにが変わったのか
母乳育児、特に完全母乳育児にこだわる人が増えたのだと思います。
母乳の分泌は産後徐々に増えるので、頻回授乳を繰り返すうちに完母になるのはよくある話です。
とはいえ、結構頑張らないと混合から完母になることはありません。
つまり、頑張って授乳している人が増えたということではないでしょうか。
一方で、こんな結果もあります。
妊娠中から母乳で育てることを意識していた人は増えていません。
むしろ、減少傾向にあります。
それなのに、現実は完全母乳にこだわる人が増えているのです。
産後の混乱期
現在の雰囲気として「やっぱり母乳だよね」という感じは以前より強いです。
根拠は良く知らないけど、母乳はイイ。それが常識。みたいな。
産後は子供を守るため価値観も変化し、メンタルもきつくなります。
そんな不安定な時期に、妊娠中なんとなく聞いた「母乳育児の素晴らしさ」を思い出します。
母乳で育った子は賢い子に育つとか。
そう思って調べると
「赤ちゃんには母乳が一番」
「特に初乳は免疫がいっぱいで大事!」
「6か月までは母乳だけでいい!」といった情報が入ってきます。
「母乳・・・! まずは母乳をあげないと! 母親なら・・・!」
と思ってしまうお母さんも、きっと多いだろうなぁ、と思います。
親世代との隔絶
本来、私たちの親世代はもっとミルクの利用が多かったと思います。
ミルクのほうがよく育つとされた時代もあったんです。
産後に育児知識を得られる最も身近な相手が親だったとして、普通に考えるとその経験から「ミルク足せば」と言われそうです。
でも、母親教室などでインプットされる「親の時代とは子育ての常識が変わっている」という言葉。
取り巻く環境も大きく変わり、親世代の子育て経験談はほとんど役に立たないと思われています。
母乳育児推進のホントのところ?
WHOとユニセフが表明している 母乳育児を成功させるための10か条。
母乳育児をしたい方は耳にしたことがあるかもしれません。
母乳育児を推進するための旗印のようになっているものです。
が、実はこの10か条は「完全母乳」の教育的メリットを挙げて推進するものではありません。
- 飲料水に衛生上の問題がある地域ではミルク育児に危険がある
- 途上国では妊産婦死亡率が高いので、多産を防ぐための避妊効果がある
主にこの理由によって、母乳育児が推進されているのです。
その際にどうすれば母乳での育児が可能になるか、という10か条です。
しかし、どのような糸でこの10か条が発表されたのかを知らずに読むとビックリ!
医学的に必要でない限り、母乳以外の糖水・人工ミルクを与えないようにしましょう。
とあります。
ここだけ読んだら、母乳育児とは母乳しか飲ませないことであり、WHOもミルクを飲ませることを否定している、と感じる人も出てくると思います。
ここのあたりが独り歩きして、完全母乳への盲信に繋がっている気がします。
母乳育児≠完全母乳育児
最初に書きましたが、母乳育児=完全母乳育児ではありません。
私は病院で「母乳を少しでもあげていれば、それは母乳育児です」と言われました。
また「母乳栄養」は、母乳からしか栄養を摂取していない、という意味で、母乳育児とは異なるシーンで使われる言葉です。
もしかしたら、この辺りを混同しているお母さんも多いのかな・・・?
母子手帳で「混合」に〇をしたら母乳育児ではない、と思っている人も、もしかしたらいるのかもしれません。
混合栄養も、母乳育児ですよ!
出産前にもっと準備をしよう
前出の調査の結果からも分かる通り、妊娠中から母乳で育てたいと思っている人は9割以上です。
さらに「母乳が赤ちゃんにとって良い」ということは、暗黙の了解となってきています。
そのうえで、苦労せず母乳が出るお母さんは多く見積もっても4割程度という現実。
入院中に十分な母乳が出るようになった人は39%というアンケート結果もありました。
半数近くのお母さんが、完全母乳にはできないのです。
また、完母のお母さんも、相当な苦労をしてその状態を維持している可能性もあります。
その中でブレずに、ストレスフリーに授乳生活を送るには、「自分はどんな授乳をしていきたいか」をよく考える必要があると思います。
そもそも、どうして母乳をあげたいのか?
完全母乳である必要はあるのか?
自分にとっての母乳育児のメリットを知り、その方法を知ること。
もしなかなか母乳が出なかった場合、どこまで頑張るつもりか考えておくのも良いでしょう。
母乳をあげたいのに思うようにできない、というのは、産後最初の大きな苦しみです。
さらに産後は驚くほど頭の回転が遅くなり、判断能力が鈍ります。
母乳をあげたいと思っているお母さんは、出産の前にぜひ、じっくり授乳について調べてみていただきたいと思います。
さいごに
事前に調べようと書きましたが、実際、妊娠中は想像も及ばず難しいものです。
そのためにも、医療機関は、母乳育児について公正な情報を提供してほしいです。
半分のお母さんは放っておいても母乳が出るが、残りはそうではない。
そして母乳を飲ませたいと思っている妊婦は9割超という事実。
どう考えたって4割以上の人が授乳で苦労するってことです。
そして、母乳を推進するのであれば同時に、
母乳をあげていれば、それは母乳育児である、ということを伝えてほしい。
授乳の大変さについて伝え、やり方をつたえ、そして最終的には
「産後鬱になりかけるくらいなら母乳にこだわる必要はない」
ということを伝えてほしいと思います。
調査について教えてくれた桜葉ふみさんの記事はこちらです。
完母のママはたった5割。母乳にこだわらず、混合や完ミという選択もできる。 | みのりんく mino-link