吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」。
学生時代に岩波文庫を読みましたが、
子育てするにあたり再読したいな、と思っていたところ、
漫画版が最近出されたので、買いました。
漫画なら、もっと早い時期に子供にも読んでもらえるかな、とも思って。
パラパラと読んで思ったこと。
起きた出来事は変えられない。
問題は、自分がそれをどう捉えるか、である。
わかっちゃいるけど、なかなか難しいことです。
私は長らく、好意を示すことは負けを意味する、
と思っていました。
誰かを好きな気持ちをまっすぐに出すと、
からかわれたり、
裏切られたり、
利用されたりする、
と思っていました。
そう思うに至ったエピソードはいくつか認識していますが、
そのひとつに、中学時代の担任のS先生との出来事があります。
今回は、過去の出来事の捉え方が変わることで、楽になったという話。
長くなりますが、興味のある方はどうぞ。
S先生と私
S先生は、中2のときの担任でした。
私が好きな教科の先生もありで、1年生の時から、
この先生が担任だったらいいなぁ、と思っていた、
大好きな先生でした。
あ、特別な意味は全然ありません。
私は当時から先生という人種が嫌いだったのですが、
この先生にはとても好感を持っていました。
担任の途中で先生のお母さん(奥様のお母さんだったかも)が
病気で倒れ、介護のためにご実家に転居されました。
中学校は神奈川県のまんなかへん。
先生の実家は静岡県のまんなかへん。
先生は、私たちの学年の卒業を見届けるまではと
1年半ほど、新幹線で通勤されていました。
当時私は学区外に引っ越しており、
電車で通学していました。
中3で担任が代わっても、たまに電車で先生を見かけました。
私はそういうときに先生に話しかけるタイプではありません。
先生からも
「電車で一緒になったときに話しかけられず申し訳ない。
同じ生徒とばかり話していると見られると、いろいろあるからさ~」
と言われていたので、
それで親しくなることはありませんでしたが、
そういう率直なところも含めて、信頼できる先生でした。
卒業後に電話が
私たちが卒業すると同時に、先生も退職されました。
先生は当時、30代半ば。小さいお子さんがいました。
卒業後、数か月後だったでしょうか・・・
自宅に先生から電話がかかってきました。
ビックリしたのですが、雑談をしたあと、
お母さんに代わってほしい、と言われ、代わりました。
ネットワークビジネスへの勧誘でした。
有名な、鍋のね。
母から聞いた話では、
- 私とは特別な信頼関係があったと思っているから、非常識とは思ったが連絡した
- 自分は実際にお金も必要だし、もっと大きな夢を見たいからやっている
というような話でした。
当時の私はどう捉えたか
私はこのとき、私の好意を利用された、と感じました。
ネットワークビジネスについてよく知りませんでしたが、
母の別の友人が鍋ビジネスをしており、
「友達に鍋を売ろうとする人」と認識していました。
全くよく思っていませんでした。
そして、その当時に感じたというより、
だんだん世の中のことが分かってきてじわじわと、
母子家庭だと思ってナメられたのではないか、とか
私が心を開いたと思って付け込まれたのだ、とか
考えるようになりました。
同時に、ネットワークビジネスは大っ嫌い。
私は死んでもやらない。
誘ってきた人は叩き斬る。 ←気持ちの上でね(;^_^A
という考えにもなりました。
違う側面から考えた
でも、先日ふと考えたのです。
ネットワークビジネスを一緒にやろう、と言い出す人の心理について。
ネットワークビジネスってある意味、
自分の心に素直になることを要求されます。
「お金が欲しい」「一攫千金」「不労所得を得たい」
思っちゃいけないけど、心の底では思っていること。
このブロックを外すとネットワークビジネスにハマりやすくなります。
だから、ネットワークビジネスのセミナーでは、
「金持ち父さん」などの本を使ってメンタル的なことを伝えますね。
私は、成功哲学とネットワークビジネスをやるメンタルって、
似てるところがあると、常々思っています。
そしてそう考えると、
私たちに声を掛けてきたとき、S先生は、
ある意味で、自分の心に正直になった状態で、
オープンマインドな気持ちであったのではないか?
ただ鍋を買ってほしい、という話ではなく、
一緒にやらないか、という話だったので、
「一緒に成功したい」という
ポジティブな気持ちを持っていたのではないか?
さらに、退職&卒業したとはいえ、
職務上知りえた生徒の情報を利用することは、
いくらなんでもいかん、ということくらい先生はわかっていたはず。
(今ほど厳しい時代じゃなかったので怪しいかもですが)
それを超えてまで、連絡をしてきてくれた、というのは、
ある意味で、先生から私への好意でもあるのかな、
私が先生にとって特別な生徒であったことは事実なのでは?
とさえ思うことができました。
そう考えると、私がこれまで思っていた
「私の好意を一方的に搾取されそうになった」
という認識とは、すこし見方が変わってきました。
信頼を壊したことに変わりはないが
まぁそう考えたとしても、
S先生のしたことは、いいことではありません。
良かれと思ってのことだとしても、
私との信頼関係を壊したし、
ネットワークビジネスでオープンマインドになって
そっちにハマってしまうという弱さが、
私は好きではありません。
(ただ、そういう弱さも持っているところが、
S先生の人間的な魅力であったとも思うのですが)
マイナスの思い出をプラスに
ネットワークビジネスは今でも全面的に大嫌いですし
かかわりたくありません。
でもね、この出来事が、ずっと、私にとって
「好意を示すと裏切られる」という思い込みを
裏付ける事実、だったのですが、
そうではない捉え方もできるんだなと、
ふと思い、実際に別の捉え方ができたのです。
マイナスの思い出の箱に入っていたこの出来事ですが、
プラスの思い出箱に入れ替えることができました。
それだけで、ずいぶんと重荷が減りました。
今後、好意を示すことで嫌なことが起きた時に、
「ほらやっぱり!」と言って思い出す出来事が、
一つ減ったのです。
S先生との思い出は、
私の中で、いい思い出と嫌な出来事に分かれており、
どう扱ったらいいか分からない記憶でした。
(良いことを思い出すと悪いことも同時に思い出す、という記憶)
今回、それを今後どう扱ったらいいか、決められた気がします。
さいごに
- 起きた出来事は変えられない。変えられるのは、それを自分がどう捉えるか、だけ。
- あるときふと、別の捉え方ができるときがくる。
- マイナスの思い出箱に入った記憶がプラスの箱に入れ替わると、マイナスの重荷が一つ減り、楽になる。
記憶をたどって数えたら、先生、今度の3月で還暦です。
もうあれから30年近い月日が流れたんですね。
先生続けてたら今年で定年かな?
鍋売って、しあわせになれたかな。
S先生が今、いい人生を送れていますように。
▼ネットワークビジネスについては以前も記事を書いていました。
人間関係の断捨離。ネットワークビジネス嫌いです。 - ライフオーガナイザーつばめの「片づけ実践日記」
私の中ではキーワードのひとつのようです。